さらに薬用となると、その効用は万病に及んでいます。たとえば、ゴキブリを 煎じて血管拡張や神経痛に(中国-図10) 。ゴキブリとナメクジとブタの胆汁 を混ぜて梅毒に(中国)、ゴキブリを煎じた茶が破傷風に(アメリカ)、ゴキ ブリ酒が風邪に(ペルー)、黒焼きが寝小便、すりつぶして霜焼け軟膏に(日 本)用いられたなどなど、枚挙に暇がありません。 しかも、その効用がただの迷信とは限りません。ヨーロッパでは昔、チャバ ネゴキブリで作った心臓薬が広く市販されていましたが、その有効成分には、 腎臓の上皮細胞を刺激して分泌機能を活性化させる作用があることが判明して います。