君見ずや荒川土手の緑、さらに緑なるその中に、一点の紅を点ずる者あり、その名をお袖という。 月よし酒よしお袖さらによし。 深窓の令嬢に恋するを真の恋と誰がいう。 泣いて笑ってこびを売る月下の酒場の女にも水蓮の如き純情あり。 そのとき、かの熱血漢新海一八はこうつぶやいたのであります。 我が胸の燃ゆる想いに比ぶれば煙は薄し桜島山