1974年(昭和49年)8月28日、その日は朝から蒸し暑かった。神奈川県平塚市の団地の3階の奥村宅から、いつものようにピアノの音が聞こえ始めた。 「少しくらい遠慮すればいいものを、わざとやっていやがる!」 気温が高くなるにつれ、その音は奥村宅の真上の4階に住む大浜松三(当時46歳)の異常に高ぶった神経をイラつかせた。