「観鈴」「ごめんね…」 「観鈴」「すぐに…治るから…」 「観鈴」「海は、また明日…」 「観鈴」「にははっ…」 無理な笑顔は、すぐに歪んでしまう。 そして、俺は悟った。 俺は近づきすぎてしまったのだ。 「観鈴」「あ…うぐ…」 そうなってしまったら、もう止まらなかった。 俺の手を振り解き、観鈴は泣きじゃくった。 それは癇癪などではなく、得体の知れない発作そのものだった。 ここまでだった。 俺はただ、観鈴が泣きやむのを待つしかなかった。