お父様、お母様、先立つ不幸をお許しください。 ご両親様がこの書状をお目にされたとき、恐らく私は此の世に居りません。 しかし、決して悲しまないでください。 愚息は己の信念のままに生き、その短い一生を全うしたのです。 今朝の納豆、美味しゅう御座いました。 お昼の弁当の酢蛸、美味しゅう御座いました。 夕食の鋤焼きの脂身、美味しゅう御座いました。 昭和七拾九年、秋拾壱月