2004/12/19 (日) 03:11:55        [mirai]
で、労働事情についてだ。韓国企業は確かに終身雇用を中心とした年功序列型の組織だったが、ここ数年の間に
大きく変貌した。現在、法定の定年制度は存在するものの、四十を過ぎればリストラは
ごくありふれた話らしい。きっちり法律どおり六〇歳まで雇用が保証されるのは公務員
だけというのは、我々日本人には笑えない話だろう。
余談だが、あのサムソンは45歳定年制度を正式に採用している
(なんとあそこには労働組合が無いそうだ!)。
年棒制の金融業ならいざ知らず、メーカーでここまで厳しい実力主義を導入している
大企業はアメリカにも無いだろう。実際にそんな組織で働きたいかどうかはともかく、
少なくともサムソンの時価総額がソニーを上回っているのは事実だ。

とまあここまで韓国の経済から教育まで私論を書いてきたが、今読み返してみると
これはそっくりそのまま日本の状況にあてはまることに気づいた。
日本では、基本的に終身雇用はまだ崩壊してはいないものの、リストラという言葉は
ここ十年でずっと身近になった気がする。多くの企業でその対象となったのが、主に
地方の生産工場だったのは言うまでもない。その数、この五年間に電機各社だけで
十万人を超える。

大学事情も同様だ。これは個人的な感想だが、少なくとも就職については、旧帝大
などの地方の名門大は、既に関東の上位私立大に抜かれている気がする。
7、8年前までは、地方都市でも企業の説明会や選考会は開かれていたものの
今ではその数はずっと減ってきている感がある。今後就職活動の早期化や
インターン経由での採用が広まれば、首都圏と地方の格差は一層拡大するはずだ。

韓国は97年の経済危機で、一気に構造改革をやらざるを得なかった。
そのため日本より5、6年ほど先をいっているはずだ。日本における構造改革が
避けられないものであるのは理解しているが、その先にあるのが、ソウルの一極集中と
地方の衰退の姿だと思うと気が滅入る。
そういえば釜山のうらびれた街並みは、どこか日本の地方都市を思わせるものだった。

これらの労働事情の変化に関わらず、韓国の失業率は3%代と低い水準で安定して
いるかのように見える。だが給与所得者における正社員比率の割合は五割を割って
いて、つまり日本の倍以上の割合で非正規従業員がいるということになる。
先月号の中央公論にも少し書いたが、いったん中国経済が失速すれば、何十万人
という失業者があっと言う間に巷に溢れるとう状況は、日本も韓国も同じだ。