「妖精。寝てなくて大丈夫?」 「うん、母さん。今日はなんだか体の調子がいいんだ」 妖精はそう言うとベッドで上半身を起こしてノートPCを起動した。 「もう・・・すぐこれなんだから。妖精は本当にパソコンが好きねえ」 「そういうわけじゃないけど、やり残したことがあるんだよ」 カタ、カタとゆっくりキーボードを叩く。 かつてのように軽やかなタイピングは出来なくなってしまった体で妖精はキーを弾く。 ときおり視界が霞むのを、意識を失いそうになるのを母に気取られぬように。 体の調子がいいと嘘をついてでも妖精にはやらねばならないことがあった。 (みらいの意志を引き継いでくれる誰かを探さねばならない・・・) 自分の体が、広報室を更新できるうちに。