2005/03/09 (水) 23:18:35        [mirai]
それは、普段の生真面目そうな兄からは想像もできない光景であった。
部屋の壁一面はアニメのキャラクターのポスターで隙間なく埋め尽くされていた。
原色をふんだんに使用したアニメ絵は視界に五秒と入るだけで目に痛い。
唯一、心安らける場所であろう自分の部屋がこんな光景では、気が変になってもおかしくはないと思った。
この部屋の状態が正に、一人暮らしを始めてまもなく変死を遂げた兄の精神状態を物語っていた。
 部屋の光景だけで充分、兄の異常性は読み取ることができたが、それ以上に明らかに常軌を逸したものがこの部屋には存在した。
無人の部屋に絶え間なく流れ続ける音楽である。いや、正確には音楽ではない。単調なリズムに合わせて、
(これもおそらくアニメのキャラの)同じセリフが延々とリピートされているのである。

「ダ~リ~~ン♪起きるっちゃっ♪もう出社の時間っちゃよ~♪」

病気である。