2005/03/12 (土) 20:36:12 ◆ ▼ ◇ [mirai]太陽は連なる山の彼方に去った
夜の帳が谷という谷に降り来る
冷気に充たされた影とともに
おお見よ! 銀色の小舟のように
碧空の海に月が浮かんでいる
私は仄かにそよぐ風を感じる
ほの暗い唐檜の木陰で!
小川は闇の中で妙音に満ちて歌い
花々は寂光の中で色褪せてゆく
大地は静けさとまどろみに満たされ
今やすべての憧憬は夢見ようとしている
疲れた人々が家路につき
眠りの中で忘れてしまった幸福と
若さを取り戻そうとしているのだ!
鳥たちは梢に静かにうずくまっている
この世界は眠りに就いた!
私のいる唐檜の陰に冷たい風が吹く
私はここに佇み友を待つ
最後の別れの時を待つのだ
私は焦がれる、おお友よ、君とともに
この夕べの美しさを味わいたいのに
君はどこにいる? 私を長く独りにしないでくれ!
私はリュートを持ち行きつ戻りつ彷徨う
柔らかい草にふくらむ道の上を
おお美よ、おお永遠の愛よ、生命に酔い痴れる世界よ!
友は馬を降り別れの杯を彼に差し出した
そして聞いた、どこへ行くのか
何故に、何故にそうしなければならぬのかと
彼は悲しみに曇った声で話した;
君、私の友よ
私はこの世で幸運に恵まれなかった!
どこへ行くかと? 私は行く、私は山に行くのだ
孤独な心の安らぎを、安らぎを求めて!
私は故郷に、私の居場所に向かう!
決して遠国にさすらいはしない
心静かにその時を待つのだ!
愛する大地は春になれば至る所で花咲き新緑に萌える!
至る所で永遠に、永遠に遥か涯まで青く輝く
永遠に、永遠に
永遠に、永遠に