家に帰って・・・ 雪で濡れた紙袋を開けて・・・ 黄色いカッターナイフを握って・・・ 銀色の刃を押し出して・・・ 自分の左手に宛って・・・ ゆっくりと呼吸をして・・・ 右手に力を入れて・・・ 左手に、赤い筋が走って・・・ それでも、何も考えられなくて・・・ ふと、笑い声が聞こえたような気がして・・・ それは、昼間出会った、あの人たちの声で・・・ あの笑顔を、あの楽しそうな声を思い出して・・・ 今の自分がどうしようもなく惨めに思えて・・・ つられるように笑って・・・ 本当に久しぶりに笑って・・・ 次の誕生日まで生きられないと、お姉ちゃんに 教えられたときにも流さなかった涙が流れて・・・ 笑って出たはずの涙が止まらなくて・・・ もう、おかしくもないのに涙が止まらなくて・・・ 赤く染まった左手が痛くて・・・ 自分が、悲しくて泣いていることに気づいて・・・ ・・・そして ひとしきり笑ったら・・・ 腕、切れなくなってました