ヘルメット ある日の夜中、数人の若者がバイクで峠を走っていた。 彼らはかなりのスピードを出していたのだが、そのうちの1台がハンドルを切り損ねて横転、 乗っていた若者はバイクから放り出されて木に頭から突っ込んでいった。 若者はかなり強く頭をぶつけたようだったが、 心配した仲間達が駆けつけるとフラフラした足取りながらも立ち上り手を振って答えたのでどうやら無事らしい。 ところが、ホッとした仲間の前で彼がヘルメットを外すと、 とたんにその頭部がグニャリとゆがんで変形し、彼はその場に崩れるように倒れこんでしまった。 すぐに救急車が呼ばれたが手遅れで、その若者はもう息を引き取っていた。 実は木に頭をぶつけた時、彼の頭蓋骨はこなごなに砕けてしまったのだが、 ヘルメットのおかげでなんとか彼の頭部は形を保っていたのだ。 そのヘルメットを外してしまったため、支えを失った彼の頭部は崩壊しその命を奪ってしまったのだ。