壁面は室内でもっとも広い面積を占めている。現在その壁装材の９０％以上を占め
るビニール壁紙は、「工事が簡単」「工期が早い」「単価が安い」と宣伝され急速
に成長した。しかし、冷静に眺めると、一般には知られない多くのデメリットが見
えてくる。クロスにはホコリを吸い寄せる性質がある。その上、調湿性能がないの
で結露し、カビが生える。そこで、防カビ剤が使われるが、今度は化学汚染を招
き、これもやはり健康を脅かす。又、防カビ剤以前の問題として、クロスは有害物
質の固まりである。ヒ素、カドミウムなどの重金属類を始め、可塑剤や難燃剤も有
毒であるのは前途したとおりである難燃剤は燃えるのを少し遅らせる程度の力しか
なく、一度火がつくと、黒煙を吹き上げて激しく炎上する。万が一、火事にでも成
れば、青酸ガスやダイオキシンで、その場にいた人は絶命してしまう。クロスの長
所・短所は、現在の住宅建築の問題点をそのまま体現している。工期が早く、安価
であっても、不衛生な造りで住む人の健康を守れない。そして、クロスの廃材は、
ダイオキシンを発生させて自然環境も汚染する。