> 2001/09/06 (木) 06:27:00 ◆ ▼ ◇ [mirai]> えっと、なんだかわかりないけど神話のテクストからストレートに史実を探り出せるか
> というならば、そんなことはあるわけがないと同調するところだけど、というか
> このメタファーとしての読み方は神話の成立を探るという意味以上の行為だと思うのだけど、
> ちょっとよくわからないのだけどヤマタノオロチ退治を文脈として読み解くというのは
> 具体的にどういうこと?
> ちょっとわからないので具体例を挙げてもらえると嬉しいのだけど。
例えば、成立論としてあの神話を読んだ場合、まぁ今まで言われてたところだと
洪水の神話化だとか、蛇をトーテムとするオロチョン族(なんかよくわからんが、そういう論がある)との抗争だとか、
川の上流に棲む製鉄民と下流の農耕民との対決だとかいろいろ旧来いわれるわけだわな。
で、オレの言う文脈論というのは、『古事記』なら『古事記』の前後の文脈、つまり
スサノヲが追放されるに至る過程や、その後のオホナムチの国譲りまで視野に入れた読みをすべきということ。
スサノヲは高天原で農耕もしくはその祭祀の妨害と見られる暴虐の末、高天原を追放されるわけだが
出雲に至って、クシナダ(稲田の神霊)を喰らうヲロチ(蛇は水神だから、洪水か)を倒すという、正反対の
行為をすることになる。そしてクシナダに産ませた子には、水神や農耕神としての名義を持つ者が多い
(異論もあるが、一般論としてそう言われる)。で、この性格の違いは何に起因するのかとか考えていくわけ。
昔は「別々に成立した神話を無理矢理つないだから」とかいう説(いわゆる成立論の域を出ないもの)が
一般的だったけど、今はそういう整合性の悪さも辞さず表現したものはなにかを考えていこうという動きの方が
さかんなわけで、例をあげると、高天原と出雲という活動場所のレベル(尊貴)の違いによるという人もいるし、
スサノヲが追放に際して受けた「祓」によって神性自体が変わってしまっている
(反生産的神格→生産に関わる神格)という説もある。
そうなると、なんでそんな仕掛けがいるのかについても説明が必要になるわけだが、
天孫が降臨するまでの暫定的な統治者という微妙な役割を担うオホナムチの位置づけのため、
その祖先神の造形にも微妙なものがあったんだとかなんとか…
というか、本当に第三者を納得させようとすると論文一本書くエネルギーが要るよ…
ようするにぶつ切りに解釈するんじゃなくて、『古事記』なら『古事記』内部での役割を考えるってことかな。
ヲロチの示すものを考えるという点なんかでは、当然メタファーを意識しないといけないけど
それだけで解釈を終わらせちゃ十分じゃないと言うことか。長文の割にうまく説明できなくてすまんな。
参考:2001/09/06(木)06時01分35秒