最近は着メロも多様化してきた。波の音、鈴虫の鳴き声などがその良い例。 さて、ここはとある高校。授業中の教室に突如として『ホギャア、オギャアア』 という赤ん坊の泣き声が響いた。全員が驚いて音の発信源の方を見た。それは、 ある女子生徒の机の横にあった大きなスポーツバッグだった。彼女は皆の視線に 気付くと、戸惑った様な微笑みを浮かべた。『すみません、着メロが鳴りました』 そしてバッグの中に手を突っ込み、ぐっと力を込めるような仕草をした。すると 音がぴたりとやんだ。『電源、切りました。もう鳴りません』 誰も何も言わなかった。