2000/12/01 (金) 04:07:05        [mirai]
僕は真理子に、どうしてカメは死んでしまったのだ
ろう、と訊いてみた。「さぁ、私にはわからないわ。
寿命なんじゃないかしら」と真理子は熱心に解剖を続
けながら言った。「それにそれを調べるために解剖し
てるんでしょ」僕は黙って頷いた。「生臭いわね」
「そうだね」僕たちは、一時間ほどかけてカメを子細
に調べた。
 解剖を終えて、僕は自分の部屋に戻り、ベッドの上
に膝を立てて座った。缶ビールを飲みながら、ぼんや
りと今日一日に起こった出来事を反芻していると、真
理子と出会ったことや真理子のカメの解剖をしたこと
などがまるで遠い世界のことのように感じられた。
 確かに僕は真理子を抱き、真理子とカメの解剖をし
た。しかし、それらは全く実感のないとらえどころの
ないものとしか感じられなかった。
 僕はしばらく真理子のことを考えていたが、面倒く
さくなって、マスターベーションをして寝てしまった。