2001/09/21 (金) 05:52:56 ◆ ▼ ◇ [mirai]「それでは、最終審査にはいります!」
「ちょっと待ってくださぁーーーーーーーーーーーーい!」
バターンと会場の扉が開かれる。
注目の中、扉を両手で押さえてはあっはあっと肩で息をする、マルチ。
「あれは――」
綾香が目を見張る。見間違いでなければ、あれは。
「HMX-12、藤田まるち! おくれましたが、さんがざぜでぐだざいー!」
いきなりボロ泣き。のっけから人間らしさ大爆発だ!
「いいでしょう」
「綾香さま?」
「審査委員長の私が許可します。マルチ、やりなさい」
「はい!」
と、そこに駆け込んできたもうひとつの人影。
「はわ!? 浩之さん!」
「待つんだマルチ! ダメだ! 言っちゃダメだーーーーーー!!」
だがすでに壇上のマルチは原稿用紙を広げて――。
「藤田まるち、心のポエムしりーず、そのいち!」
『ふきふき』 藤田 まるち
ふきふきはすごい。
まども、かべも、ゆかも、てんじょうも、もっぷでふきふき。
きれいになるのですー。
ご主人様がわたしをふきふきすると、わたしもきれいになれるのかなあ。
それだったら、もう絶世のびじょになってるはずですよー。
だって、まいにちがふきふき。
ふきふきってすごいなあとおもう。
「以上ですぅ!」
「………………」
「………………」
「………………」
黙り込む審査員たち。一様に複雑な表情をしていた。
たとえて言うなら、『おちんちん』というタイトルの小学生の詩を批評するときの川崎
洋のような。