「お帰りなさい、マルチちゃん、浩之ちゃん」 向こうの角から顔を見せたのは、犬かと思ったらあかりだった。 「ふふぅ、迎えに来ちゃったよ。晩ご飯できてるからね」 「おう、遅くなっちまって……」 オレの横からすっと前に出る人影。 マルチは満面の笑みを浮かべて、すうっと息を吸い込んで―― 「ただいまですぅ、クソババア!」 マルチの修理には一ヶ月かかった。