2001/11/01 (木) 07:57:11 ◆ ▼ ◇ [mirai]厭な夢を見た。
これまで行ったこともなく、見たこともない土地の
川縁を上流に向かって歩いている。周りは胸の高さくらいまである葦で
覆われていて、その向こうにはどれも同じ間隔で木造の長屋が連なっている。
川の音が聞こえる方を向くと、ドンヨリと淀んだ水がゆっくり流れる
汚らしい川とその遠方には一面の砂漠のような砂地がある。
歩いていくうちに辺りは夕闇に包まれ暗くなって、幾分肌寒くなる。
なにか気配のようなものを感じ、川の方向を向くと草むらが
禿げたようになっていてそこに段ボールの箱がポツンと一つ置かれていた。
その箱から小刻み小動物が震えるようなガサガサという音がする。
瞬間、イヤな予感が胸をかすめる。
それでも近寄って此の目で確かめたいという気持ちには勝てず、ゆっくり
その箱へと近づいてみる。そばに寄るほど胸の動悸が激しくなる。
手の届く所まで来て立ち止まる。「開けては行けない」。直感的にそう思った。
だが、一方で胸の中に沸々とこの箱を開けてみたいという感情が芽生えている。
もし開けてしまったなら、取り返しの付かない自分の考えの及びもしない事が
起きる事になるのではないか。そしてそれが自分のみならず、この世のあまねく人々に
とっても幸福とは正反対の結末をもたらす程の邪悪な事を引き起こす結果と
なりはしないだろうか。触れてもいない箱の前で戦慄を覚え始めた。
だが、恐怖感が増せばますほど反対に何としても箱の中身を拝んでやろうという
気持ちが増幅していく。
只でさえ酷い鬱に悩まされている状態で日常生活すらままならず
自我を失いかけている自分に、重要な選択を迫ることは更に今の状態を悪化させる
のみで、箱を開けようがそのままにしておこうがいずれを選択しても
快方へ向かう事のない無駄な労力を費やすことに変わりはない。
運命を呪うしかないのか…。決心した。
ゆっくりとスローモーションで箱へ手を掛ける。閉じられた中からは
やはり、何か生物が入っているのだ。有機的な動きを手に振動で感じる。
そのことが分かると、幾分気が休まった。そこで、一気に箱を開けてみることにする。
箱を開いた。
中には青白く変色し所々に血痕の付着した人間の頭部が入っていた。
唖然として凝視する事しかできなかった。生気の無くなった顔に深く刻まれた
皺の一本一本が妙に生々しい。付着した血液は死語切断したためか、
顎の辺りにのみ集中していて、首にはそれほど付着していない。
死んでから時間が経過しているためか血はすでに乾燥している。
乾燥した血痕がパリパリと剥がれ落ちた。
同時に眼が見開かれた。一杯に開けられた坊主の眼が
自分を凝視する。そして口元に笑みをたたえて、箱の中の首は言った。
「喰ってやる」
・・・・・・・・・覚醒する、ひどい寝汗だった