その三「気力」 さて、そろそろ本格的に東洋医学の話を進めて行きたいと思います。 まず、東洋医学の根本は、「未病主義」である、と断定して良いと思いま す。未病とは、「病気になる前に治す」という意味です。 例えば、私がお世話になった東洋医学の先生は、私が風邪をひいただけ で、「アンタは、バカだ」とよく言いました。 東洋医学的には、風邪は立派な病気です。万病の元、という言葉を耳に された方も少なくはないでしょう。つまり、「風邪などという深刻な病気をす るまで、体の不調に気付かないなんて、アンタは何て鈍感なんだ」というこ とを先生は言いたいのです。 前述のとおり、道教の世界では、感応を好む分、鈍感を何よりキライます。 そんなバカな患者の相手をしたら、自分の気が害されて損をする……とい う事を、先生は言いたいのです。 ところで、会社で「風邪ぐらい何だ、そんなの気力で吹き飛ばせ」なんて言 う上司が居たら、その上司はバカだと思って間違いないです。