> > ちよ「10歳ですから」 僕たちは歩きつづけた。玄八じいさんは自転車を押したままなので 少し遅れているようだった。ちよは疲れているのかさっきから黙り続けている。 聞こえるのは田奈川の水音だけである。さらに20分ほど歩いた後 突然ちよが叫んだ「お兄ちゃん、あれ」 ちよの指がさしている方へ目をやる、何も見えない。 漆黒とまでは言えないまでも、周りに民家などが無いこのいったいは相当に暗い。 その暗闇の中に一筋の光が、突然横切った。 「見えた、蛍だ」 僕は後ろを振り返り、玄八じいさんに叫んだ。 参考:2001/12/12(水)23時26分25秒