>  投稿者:革命瀕死 2001/12/12 (水) 23:56:58        [mirai]
> > 僕たちは歩きつづけた。玄八じいさんは自転車を押したままなので
> 少し遅れているようだった。ちよは疲れているのかさっきから黙り続けている。
> 聞こえるのは田奈川の水音だけである。さらに20分ほど歩いた後
> 突然ちよが叫んだ「お兄ちゃん、あれ」
> ちよの指がさしている方へ目をやる、何も見えない。
> 漆黒とまでは言えないまでも、周りに民家などが無いこのいったいは相当に暗い。
> その暗闇の中に一筋の光が、突然横切った。
> 「見えた、蛍だ」
> 僕は後ろを振り返り、玄八じいさんに叫んだ。

「まだまだ、もっと先だよ」
玄八じいさんがそう言うと、俄然元気になったちよが不平を言った。
「え~まだ歩くの~、ちよもう疲れた」
父が家を出て行ってから、ちよは自分のことを私と言うようになっていた。
「お前、いま自分のことをちよって言っただろう」
ちよは返事をせずに歩きつづけている。不平を言ったが、蛍を見る前に比べ
歩調が軽くなっているようだ。

参考:2001/12/12(水)23時41分09秒