>  2001/12/19 (水) 16:06:44        [mirai]
> 貧乏揺すりの原理を教えてつかあさい

 貧乏ゆすりは、江戸時代に普及した言葉で、一般的には「座っている時に、ひざ
のあたりを絶えず揺り動かすこと」とされています。当時は、貧乏ゆすりをすると
貧乏神にとりつかれるという民間信仰もあった模様で、昔から周囲の人に嫌がられ
ていたことが分かります。
 貧乏ゆすりを精神病理学的にとらえると、心理的葛藤や欲求不満などに根ざした
不安・緊張が亢進した時に、それを解消する無意識的行動→一種の「置き換えの防
衛規制」と言えます。
 貧乏ゆすり自体は治療対象になりませんが、精神神経系の障害、特に錐体外路の
障害などでは、貧乏ゆすりに似た症状がみられます。
 錐体外路は、意志的な運動をする時に脳からの指令が伝わる錐体路という神経経
路を補助する神経系で、その働きで通常の運動が円滑に行われます。錐体外路の障
害で起こる病気には、パーキンソン病や舞踏病、ジスキネジー、チックなどが含ま
れています。貧乏ゆすりと最もよく似ているのはジスキネジーで、これは抗精神病
薬の副作用として現れます。
 また、頻度が高いのはチックという病気で、目の病的なしばたきや口のひきつ
れ、首や肩の頻回のひきつれなどの症状が主体ですが、一部のケースで貧乏ゆすり
様の症状がみられます。ちなみに、通常の貧乏ゆすりは、本人の意志で動作を中止
するのがそれほど難しくありません。しかしチックの場合は、本人が病的動作を中
止するのにかなりの苦痛を伴います。
 チックは幅の広い病気で、錐体外路の障害がはっきり認められず、ほとんど心理
的な要素によって起こるケースもよくみられます。心理的ストレスなどの影響を受
けて起こる比較的軽度のチックの貧乏ゆすりは、通常の貧乏ゆすりとかなり近いも
のと言えましょう。
 たとえ、背後にこうした精神神経系の病気がなくても、貧乏ゆすりを通してその
人のいらいらした不安定な気持ちが問わず語りのメッセージとしては周囲の人に受
け取られるため、当人のマイナス・イメージを強めます。貧乏ゆすりをしやすい人
は、その場でタバコを吸ったり、手にノートやペンなどを持つなどして、貧乏ゆす
り衝動をまぎらわせるようにすることが大切です。

参考:2001/12/19(水)16時04分30秒