さて、君の言うところの「明るい話」というのを語らせてもらおう。 

しかしこのままでは始められないな。 

何故って、君はまだパジャマのままじゃないか。 

僕の「明るい話」というのは、とても複雑にできているんだ。 

それは例えて言うならば、フルオーケストラの楽団が交響曲を奏でる時に 

たった一回だけしかないトライアングルの音色のようなものなんだ。 

そう。 

そのトライアングルの音は、周りの楽器があって鳴らす瞬間に向けて 

メロディーが高まっていき、今しか無いという瞬間に放たれるからこそ、 

ただの金属音から済んだ楽器の音になりえるんだ。 

僕の言いたい事は解るよね？ 

僕はその瞬間だけをこの部屋でずっと準備し続けてきたんだ。 

だから僕はできれば君がきちんと着替えてきて欲しいんだ。 

僕がこれから語る話は決してベッドの中で寝転がりながら聞いてなど 

して欲しくないんだ。 

　・・・ 

ありがとう。君の配慮に感謝するよ。でも、やはり僕は正しかったね。 

君の格好ときたら！　とても良く似合ってるじゃないか。 

これで僕の希望がまず満たされたわけだ。 

さて、いよいよ僕の「明るい話」をはじめよう。 

あ