父よあなたは強かった 兜も焦がす炎熱を 敵の屍とともに寝て 泥水すすり草をかみ 荒れた山河を幾千里 よくこそ撃って下さった 夫よ貴方は強かった 骨まで凍る酷寒を 背もとどかぬクリークに 三日もつかっていたとやら 十日も食べずにいたとやら よくこそ勝って下さった 兄よ弟よありがとう 弾丸も機雷も濁流も 夜を日に進む軍艦旗 名も荒鷲の羽ばたきに 残る敵機の影もなし よくこそ遂げて下さった 友よ我が子よありがとう 誉れのきずの物語り なんどきいても日がうるむ あの日の戦に散った子も 今日は九段の桜花 よくこそ咲いて下さった