いま涙を流したらウツだ、いま泣いたらウツだぞ、 と自分に言い聞かせて次はできる次こそできるはずと努力した。 まっそり椅子に腰掛けて、一人で満足して、 あっぱれ受験生殺しのの心憎い出題者さん。 カスだ。思わせぶりたっぷりじゃないか。 そんな安っぽい過去問があったぞ。2002年にもなって、 なんだい、問題やさしいセンターさんか。甘ったれた芝居はやめろ。 いまさら難化傾向でもあるまい。 わがまま勝手の設問をやらかしてさ。 よせやいだ。投げたらウツだ。 これはウソだ、と心の中で言いながら懐手して 目の前がぐるぐるまわっているのだが、 いまにも、嗚咽が出そうになるのだ。私は実に閉口した。 問題の隅をちぎったり、絵をかいたり、さまざま工夫して頑張って、 とうとう私は一滴の涙も目の外にこぼれ落さなかった。