デブは道路に撒いた灯油に火を付けた。オレンジの線はドラマのように佐智子へ走った。 

いきなり佐智子の全身は炎に包まれた。 
あまりの熱さと痛みに体はエビのように引きつった。 
佐智子は見た。男達の愉しそうな顔を。自分が苦しむ姿を心から楽しむ顔を。 

佐智子はガムテープの内側で絶叫した。 
自分自身が燃える煙に咳き込んだ。 
焦げた腕や首筋から奔流のように血が噴出し、路上をガードレールを汚した。 

彼女の短い人生はあっけなく終わった。ほんの数秒で佐智子は倒れたまま動かなくなった。 
「なんだ、もう終わりか。」チビがつぶやいた。 
「こんどは足だけ燃やしてみようか」デブが言った。 
「寒いから帰ろう」 
男達は山を降りた。途中、建設会社の車とすれ違った。 
「大丈夫だよ。」誰かが言った。 

ﾁｮﾝにもﾕｰﾓｱがあるのがいるじゃないか