『死神』。 人としての感情を持たない殺人機械。 幼い頃に拾われ、虎に育てられた異人。 投げ銛を使う凄腕の仕置人であった。 虎の用心棒を務め、また寅の会の掟を破った者を容赦無く葬る、最強の目付役でもあった。 文字通り『死神』の如きその強さは、寅の会の仕置人の中でも脅威であったのだが。 その死神が、一人の女に惚れた。 心なき心に、男としての情愛が芽生えたのである。 死神は仕置人であることを捨て、女と共に駆け落ちした。 が、女は死に、死神もその後を追って自ら命を断った。