2002/04/20 (土) 15:53:28        [mirai]
娘は名をおゆうといい、母もやはり越後瞽女でおえいと言った。
彼女は子供の頃は盲目ではなかったのであるが・・・。

おゆう「柏崎の荒浜という辺りを旅してた時です。
    おっ母あが野宿すればその分銭こも助かると言ったので
    船小屋で寝たです・・・。
    目っこが覚めたらおっ母あがいねえんで覗いてみたら
    入り口で知らねえ男の人と一緒に寝たった。
    そただ事時々あったのであんましたまげねえですども
    何かおっ母あがつれえ目に遭ってる様な気がして
    ずうっと見とったです( '-')」
  
弥蔵『俺あ、銭っこもっとらんぞ(^Д^)』

おえい「そんなことええっす('ー')」

弥蔵『こんただ暮らしは、こんただ暮らしはもう反吐が出る。
   旦那衆にこき使われて三十になっても嫁っこさももらえねえ。
   旅の瞽女に情けかけて貰って・・・。
   くそおー!!!おい三国峠どっちだ?(`Д´)』

おえい「三国峠?('ー')」

弥蔵『峠さ越して江戸さ出る。
   江戸さ出てどっただ事してでも銭っこ握ってやる。
   銭っこさ握ればわしらでも人間になれるぞ(`Д´)』

おえい「江戸は遠いんで一文無しじゃいけねえっす。
    わずかだども持っていかせ・・・('ー')」

おえいは貯めていた銭を荷物から取り出そうとする。
こぼれた小判を見て男の目の色が変わった。

おえい「おらの事目明きの様にやさしゅう抱いてくれたんけ、
    少しだけんど('ー')」

小屋の中に響き渡るおえいの絶叫!
男の手には棍棒が握られていた。

おえい「この童子だけは助けて。
    この童子は目っこが見えんであんたの事は見てないって(;TДT)」

必死におゆうをかばうおえいに、男はとどめを刺し小判を懐に仕舞いこむ。

弥蔵『お前、目っこが見えるんだな。
   そっか,母ちゃんの言った通りにしてやる(`皿´;)』

男の名は弥蔵と言った。
本当の瞽女となったおゆうは弥蔵の後を追い江戸を目指したが
あちこちで騙され続け七年かけてようやく江戸にたどり着き、
じょんがらを好んで聞いていた越後訛りの侍を、
弥蔵と間違って襲ったという次第であった。

仇吉「その弥蔵の顔を覚えてるかい?('Д')」 

おゆう「あの顔は忘れらんねえ!(#'д')」