2002/05/16 (木) 04:36:15        [mirai]
お母さんは窓への道をつくろうと足で卵をよけようとして、その異様な重さに驚きました。 
 動かしたひょうしに強くなった異臭。その重さの妙な感じ。 
 恐る恐るしゃがみこんで近くのそれらを観察して、彼女は布切れの間からのぞく赤黒いモノに気づきました。 
 昔、大怪我をした時に見た開いた傷口そっくりの色。 
 お母さんは悲鳴を上げて、でも、お父さんは1階にいたけれど、声もかけてきませんでした。 
 お母さんは気持ち悪いのを我慢して足で重たい卵をよけて英子さんのところまで行き、無理矢理起こして部屋から連れ出しました。 
 英子さんは嫌がって卵を踏みつぶしたりしましたが、火事場の馬鹿力が作用したのか、小柄なお母さんが英子さんを部屋から引きずり出し、1階へ下ろしました 
 英子さんの姿に、お父さんはそっぽを向いて寝室に引っ込んでしまいました。 
 お母さんは1人でやっとのこと英子さんを居間に落ち着かせ、それから、警察に電話をかけました。 
 もちろん、お母さんは卵の中身が何かわかっていませんでした。けれど、近所の人が蛇が出たと行って110番しておまわりさんを呼んだことがあったので、それよりは重大時だと思ってかけたのだそうです。 
 やってきたおまわりさんは、英子さんに踏みつぶされた卵の中に、人間の目玉をみつけました。そこから、大騒ぎになったのです。 
 もうおわかりだと思いますが、卵の中身は一樹さんでした。 
 彼が、何百、千に近いくらい細かくバラバラにされて、卵の殻の中に納められていたのです。 
 DNA鑑定で、彼だと確認されました。遺体の多くに、生体反応が認められました。 
 彼は、生きたままバラバラにされたのです。しかも、刃物を使われた痕跡は見あたらない。引きちぎられ、折られ粉々にされていたんです。