投稿者:おふう 2001/01/14 (日) 00:08:22 ◆ ▼ ◇ [mirai] 遠くに、街並みが霞んで見えていた。
それは、灰色の街。
街路に落ちる雨が、舗装されたアスファルトを叩き、濁った飛沫が朝鶴のように街の姿を凄い隠す。
枯れた木々と風に揺れる落ち葉が牽空を思わせる季節。
それは冬の到来を確信させるに充分な、寂しい街の表情だった。
冬の顔は、冷たい雨。
そう思えたのは、ずっとそんな街を見続けてきたのは、それは確か、まだ俺が。
「祐一っ」
「……ん」
不意に名前を呼ばれたような気がして、俺は無意識に寝返りを打った。体が痛い。まるで、投業中机に伏せて、そのまま眠ってしまった時のような……。
「祐一っ、起きて」
「うう」
自分でも返事なのかどうなのか怪しい言葉を発して、今度は反対側に体を捻る。
「祐一~っ」
「……ん?」
重くのしかかる瞼を懸命にこじ開けたその先には、ぼやけた部屋と、俺をのぞき込む誰かの顔があった。
何となく、自分の部屋とは違うような気がする……。
「でも眠い……」
思考が働いたのは一瞬で、また瞼が重力に引かれて閉じていく………。
ゴンッ。
「ぐあっ!」
突然、後頭部を鈍器で殴られたような衝撃が走り、俺の意識は急速に引き戻された。
「な、名雪?」
「おはよう、祐一」
目の前には、目覚まし時計を握りしめた、いとこの少女水瀬名雪の姿があった。
「祐一、おはよう」
もう一度、にこっと笑いながら朝の挨拶。
「ああ。おはよう……」
対照的に、俺は思いっきり不機嫌に挨拶を返していた。