「これは,檸檬のにおひですか。」 お客の紳士が話しかけました。 「いいえ,夏蜜柑ですよ。」 運転手の松井さんがにこにこして答えます。 その夏みかんは,田舎のお母さんが昨日 速達で送ってくれたものだったのです。 松井さんは,お母さんのその優しい心づかいが とても嬉しくて,中でも一番大きい夏みかんを 車に乗せてきたのです。