同じサークルの同級生が在学中に自殺し、 何を考えたのか遺書に「解剖学教室に献体する」と書いてありました。 無視すればいいのに真面目な家族は言うとおりにしたんですね。 大学では普通の系統解剖実習に加えて、 高学年になってから外科系の実習の一環として局所解剖というのがありました。 彼の自殺から数カ月経ったある日の局所解剖実習で、 脳外科の担当としてサークルの先輩の若手教官がやってきました。 彼は留学していて件の男の自殺をしりません。 開頭の準備をしながら、私を見つけて 「よう、ひさしぶりだな。所で**(死んだ男)はどうしてる?」 「それが実は」 「どうしたんだ?」 「あいつは首をつってしまいまして、今はここに寝ているんです。ほら」 と遺体の覆いをはずすと、その教官は遺体を一目見る間もなく ぎゃっと叫ぶと持っていた開頭用ドリルや糸のこなども放り出し、 こけつまろびつ逃げ帰ってしまいました