>  2002/08/11 (日) 06:43:31        [mirai]
> 《 のび太の卒業 》
>           【 起 】

          【 承 】

小学校の卒業式の日、のび太はドラえもんのぬいぐるみをランドセルの中に
入れてきていた。

   最期の秘密道具は小学校を卒業する日に使おう。

のび太はそう決めていたようだった。

体育館での卒業式は終わり、みんなは教室で最期の別れのときを過ごしている。
のび太の周りにいたクラスメート達は、6年間の想い出を話している。
のび太自身もまた、ドラえもんと過ごした日々を想い出さずにはいられなかった。
のび太はドラえもんのぬいぐるみを、ほころびたランドセルの中から取り出し、
最期の秘密道具を使うことを決心した。

ドラえもんのぬいぐるみを振ると

   チリリーン

と首のすずの音が鳴った。

周囲に、特に何も変わった様子は無かった。

   変だな? 何も起こらないじゃないか。

のび太は何も起こらないことを不思議に思った。
首をかしげて自分の机の上を見ると、ふで箱が無い・・・
代わりに自分のものではない、別のふで箱が置いてある。

   !?

よく見るとそのふで箱は、のび太が4年生から5年生のときに使っていたふで箱だった。
だいぶ前に、こわれて、すててしまったはずのふで箱が、
使っていた当時の姿ままそこにあった。
ふで箱だけではなく、教科書もノートも下じきも、一年ほど前に使っていた物に
変わっていた。
最初はこの現象にとまどいを見せていたのび太ではあったが、ドラえもんと過ごした
最も楽しかった頃に使っていた、なつかしいものを見ているうちに、
しずかやジャイアン達にも、この秘密道具の能力も見せてあげたくなった。

のび太は、しずか、ジャイアン、スネ夫、出来杉、そして他のクラスメートみんなにも、
ドラえもんのぬいぐるみを振ってまわった。

しずかや他のみんなも、なつかしい物が見える現象に
最初はとまどいを見せていたが、皆それぞれが言葉には表せない、
自分にしかわからない、感動を味わっているようであった。



参考:2002/08/11(日)06時41分39秒