2002/08/16 (金) 19:22:07 ◆ ▼ ◇ [mirai] 「…… きょ う ふ の み そ 汁 よ……」
大きな手が迫ってきた。男の子は抵抗できなかった。
テーブルに無理矢理座らされた。
「食え。うまいぞ」
「あ。もったいないわ」
「まあまあ。こうなってしまってはどうしようもないさ。ほら。ほれ。これから食ってみろ!」
その箸は、さっきなべの中で見た、良くわからない物をはさんだ。薄切りにされ、
水気をたっぷり吸ったそれは、箸が男の子の口に運ばれるその動きに合わせ、小気味よくゆるゆると震えた。
男の子は反射的にそれを跳ねのけた。
それでも相手は、依然としてニコニコ笑っていたから、
男の子、声を大にして叫ばざるを得なかったのだ。
「パパ。いやだよ!」
男の子は、泣き出してしまった。
「おやおや。黙ってて悪かったよ。食わず嫌いするな。
きょう の ふの み そ 汁 は格別にうまいぞ。あっはっは、パパの大好物だ。あっはっは。」
「ほっほっほ。ごめんねえ。ほーっほっほほほっほっほほほっほほほほっほ」
「離婚してー。ところでお前、何で、震えてるんだ?」
「パパ。だからぼく、おしっこしたかったのー」
「そうか。してこいよ」
「パパ。もうでてるよー」
「そうか。ほっはっは」
「あっほっh」