2002/08/24 (土) 21:51:28 ◆ ▼ ◇ [mirai] カランカランカラ~ン
カウベルの音に、由綺と話しこんでいた俺は顔を上げた。
「こんにちわ、冬弥君、由綺ちゃん」
「いらっしゃい、みさき―――」
「あ、こんにち―――」
・・・
・・・
デケェ!!!
店に入ってきた美咲さんの鼻は、異様にデカかった!
俺は吹いていた皿を床に落とした。
由綺は、コーヒーにミルクを注いでいる途中だったのを忘れた。
椅子に座って本を読んでいたマスターが、椅子から転げ落ちる。
彰が真っ白になった。
・・・
「うふふ、今日はにぎやかね」
と、いつもの優しい微笑を浮かべ、カウンターにつく。
デケェ!
近くで見るとますますデケェ!
マスクメロンくらいある!
恐怖・・・そう、それは恐怖だ! 日常に現れた非日常!
異形の存在!
だがそれでも、人は知的好奇心を失わないものなのだ。
恐る恐るだが、最初に質問したのは、この俺だった。
「み、美咲さん・・・鼻、どうかした?」
「?」
わからない、という風に小首を傾げる。
巨大な鼻が、ぶるんと揺れた。
鼻がなけりゃ、可愛い仕草なのかもしれないが、今はただただ、恐ろしいのみだ。
俺は震えながら、美咲さんに水を出す。
美咲さんはいぶかしがりながら、それを受け取った。
「一体どうしたの、皆―――」
言葉が途切れたのは、グラスに映った自分の顔を見たからだった。
「は、鼻デカぁっ!!!!!」
「って、今気づいたんかーい」
彰は、優しくツッコんだ・・・