今日もバーで呑んでいるとお揃いのシャツを着た一団が入ってきた。がやが やとさわがしい。一体玉蹴りなどどこが面白いのか、呑むなら呑むで味わって 呑みやがれ。 目の前にピーナッツの小皿がポンと出された。顔を上げるとオヤジは横を向 いて視線を合わせない。黙って俺の愚痴を聞いていたようだ。俺は下を向いて ぶつぶつとひとりごちていく。 俺はバスのルートを間違えたことはないし、時間はきっちり間に合わせる。 乱暴な運転で客を酔わせたこともほとんどない。実際、会社も俺を指導的なポ ジションに着かせた。今の若いのはだらしない。香水を使いすぎて客からクレ ームをもらったり、団体客の女の子にちょっかい出して電話がひっきりなしに かかってくるだの、男のくせにピアスの数が自慢だの……そんな奴ばかりだ。 だのに会社は、そんな奴らより俺の方が問題なんだそうだ。出がけに一杯引 っかけるのが何故悪い? このクソ暑いのに、そうでもしないと仕事に気が入 らねぇ。 オイ、オヤジ。おかわりだ。大丈夫。今日は客は乗せてねぇ。