投稿者:_ 2002/08/25 (日) 02:33:24        [mirai]
? :02/08/24 23:49
「雲」「妖精」「リモコン」 

 日曜日は、勉強をしないことに決めている。もっとも、決めたのはつい最近のことだが。 
 ある所でリラックスすることが、最近の僕には絶対に必要だからだ。 

 受験というものがここまで馬鹿らしいものだとは、自分が当事者になるまで気がつかなかった。 
 朝礼から就業までいつも成績と進路の話ばかりの教師。腫れ物に触るように接してくる割には受験の話 
しかしない、無神経と神経質を同居させた両親。優勝劣敗が全てと説く塾講師。少しばかりの偏差値の上 
下で一喜一憂する級友。勉強そのものは全く苦にならないのに、周囲の煩わしさに嫌気がさしていた。 
 そんななかで、僕はその場所を見つけた。といってもなんのことはない。近所の河原の河川敷だ。 

 風の妖精の息吹が頬をなでるのが心地よい。緑の絨毯は微風がつくる小さな波を幾重にも重ね、澄んだ 
水の奏でるせせらぎが心を落ち着かせてくれる。護岸のコンクリートの板に寝そべると、果てしなく高く 
青い空と、アクセサリのように散りばめられた小さな白い雲が目に飛び込んでくる。 
 心が安らぐ場所であることは言うまでもないけれど、携帯電話が場所によっては圏外になるように、こ 
こは僕を強制的にコントロールしようとする誰かが持つリモコンの電波が届かない場所らしい。 
 この場所を見つけられなければ、僕はどうなっていたのだろう。そんな他愛も無いことを考えているう 
ちに瞼が重たくなってきた。 
 「ああ、いい気持ちだ」 
 そんなことをつぶやいて睡魔に身を任せた。何かに抱