投稿者:_ 2002/08/25 (日) 02:33:39        [mirai]
やっぱり初デートっていうのは気合いが入るわけだ。 
それが山歩きっていう、よく言えば健康的、悪く言えばジジくさいものになったのは、 
裕幸君に「澤名さん、今度の日曜日いっしょに山歩きに行かない?」って向こうから誘ってきたからだった。 
そういうリクエストならってことであたしは「じゃあお弁当作っていくね」って答えた。 
料理はちょっと自信あるのよ。よし、じゃあ山菜おこわでも作っていこうか。山だし。決まり。 
でもちょっと色が地味だから、クチナシの実で黄色にするっと。うん。それならいい感じ。 
そんな感じでどんどん献立を決めていって、あたしは日曜に備えていった。 
そして当日朝5時。お弁当を作るあたしの前にそれは現れた。 
昨日の晩にタイマーを掛けておいた炊飯器の中の緑色の物体。綺麗な黄色になる筈の山菜おこわは緑色に染まっていた。 
クチナシかなあ。クチナシをおこわに使ったのは初めてだった。実験しておけばって思っても、もうどうしようもない。 
あたしはどうにかしようと冷蔵庫を開けた。ふと、油揚げが目に止った。油揚げならコンビニに売ってる。 
これでリサイクルするしかないか。あたしはお稲荷さん用の付け汁を作ることにした。 
「澤名さん料理上手いね、この一口いなりずしおいしいよ。おれ和食好きなんだ」 
「そう? あたしも好きなんだ。どんどん食べてね」 
あたしはなるべくお稲荷さんの具を見せないように、丸ごと口に放り込んだ。 
裕幸君のほおに緑色のご飯粒が見えた。 
あたしはあわてて手を延してそのご飯粒を取った。 
裕幸君はきょとんとした顔であたしを見つめた。 
「あ、ご飯粒付いてたから」 
裕幸君は恥かしそうに下を向いた。 
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今週は歴史物でまとめるつもりだったんだけどなあ