2002/08/29 (木) 12:55:34 ◆ ▼ ◇ [mirai] よぉ、藤田浩之だ。俺は今、隆山温泉に来ている。
どうしてって?マルチのバカが、料理中にガス爆発かましたんで、我が家は木っ端ミジンコ。
いつかはやると思ってたが、とうとうやらかしやがった。
俺は奇跡的に無傷だったが、マルチは病院・・・もとい、研究所送りで一ヶ月休み。
住む場所を失った俺は、親父とお袋のアパートに転がり込もうと思ったんだが・・・
「あぁ、ダメダメ! 父さんと母さんは、今、おまえの兄弟を作るのに忙しいんだ!」
「ごめんなさいね、浩之。しょうがないから、あんたは神岸さんの家に居候して、私たち
の孫でも作りなさい」
「バカかおまえらは」
んで、まあ、知り合いに相談したら・・・
「そーいや、浩之は受験勉強ひかえてんだろ? どーせ夏休みの間だけなら、温泉なんて
どうだ? 親戚が隆山でデカイ旅館やっててさぁ・・・、環境は最高だぞ?」
っつーワケで、やってきました隆山温泉!
そして・・・
「あの娘、知らないヒトを噛むから・・・」
俺は楓ちゃんと出会った。
「チッチッチッ」
「・・・」
「チッチッチ・・・楓にゃ~ん、ミルクでちゅよ~」
最初こそ俺を警戒していた楓ちゃんだが、地道な努力が功を奏したのか、いまでは、俺
が側で見ていても食事をとるようになった。
一度だけだが、俺の側で昼寝をしていたこともある。
かなり、警戒を解いてくれたみたいだ・・・
だから、今日は思い切って、指先につけたミルクを舐めさせてみようと思う。
けっこう大胆なチャレンジだよな・・・、うまくいくだろうか?
「おいでおいで~」
「・・・」
「楓にゃ~ん、おいで~、チチチッ・・・」
楓ちゃんは、おずおずと近づいてきて、困惑気味に俺を見上げた。
「ほら、恐がらないで・・・」
楓ちゃんは、俺の指先と俺の顔を、不安そうに、交互に見る。
「大丈夫・・・」
俺が優しく言うと・・・
ぺろ・・・
やった!
俺は思わず叫びそうになるのを、必死でこらえた。
「・・・」
とうとう、楓ちゃんが俺の手からミルクを・・・
ぺろぺろ・・・
「・・・」
楓ちゃん。
ぺろぺろ・・・
「・・・楓ちゃんって―――」
舌が、ザラザラしているな・・・