2002/10/01 (火) 18:02:01        [mirai]
 土砂降りの雨のなか、傘も差さずに濡れている。
好き好んでこんな真似をしているわけじゃない。歌のセリフじゃないが、傘が無いのだ。
とぼとぼと駅からアパートへの帰り道を歩きながら傘を盗んだ奴を呪っていると
声が聞こえた。振りかえるとそこには黄色い傘をさした一人の少女が立っていた。
「あの…雨降ってますよ?」
「降ってるな。バケツをひっくり返したような雨が」
「雨に濡れるの好きなんですか?」
「大っ嫌いだ。特に服が張り付くのが気持ち悪いな」
「…傘。使わないんですか?」
「あれば使うさ」
「はい。どうぞ」
少女はにっこりと笑い。自分の黄色い傘に入るよう促した。
「悪いな」