2002/10/13 (日) 04:43:16 ◆ ▼ ◇ [mirai]「最近暑いだろ、だから部屋の窓空けて寝てるんだよ。そうするとさ、窓のとこ、鳩が飛んでくるんだよ。」
先輩はなんとなくこう話しました。大学の食堂で昼食をとっている時の事でしたっけね。
「鳩がですか。」
「おう、それでな、目開けたら逃げちゃうだろ。だからさ、目閉じてじっとしてると部屋の中
入ってくるんだよ。トコトコってな。「クルックー」って鳴いて可愛いもんだぜ。そのまま俺は寝ちゃうんだけどな。」
「へー、面白いですね」
と僕は軽く聞き流しただけだったんです。
ある日、先輩が旅行に行くため、留守番をしてあげる事になりました。
「冷蔵庫にあるもん適当に食べていいからな。寝る時も適当に寝てくれ。それじゃあな」
そして部屋に残された僕はTVを見たりして時間を過ごしてました。
「そろそろ寝ようかな。」
先輩の言う通り適当に雑魚寝する事にしました。
その日も蒸し暑い夜だったから、全部の窓を開けてたんですよ。
目を閉じ、うとうとしはじめた頃、窓の方で「クルックー」という鳴き声が聞こえてね。
「おおっ、おおっ」
先輩の話を思い出したんですよ。
「ホントに来るもんだなあ、おっと目を開けちゃいけないんだったな」
って思って、目を閉じてじっとしている。まあ少し疲れてましたしね。
「クルックー、クルックー」トコトコ。
『鳩』はそのまま泣きながら部屋の中に入ってきたんです。
「ホントだ、可愛いなあ」
なんて思ってたんですけどね、「えっ!?」って思ったんです。
こっちに鳩が近づいて来たみたいなんですけどね、近づくにつれて鳴き声もはっきり分かってきて、
「クルックー」と思ってた鳴き声が「クルックー、クルックー」っていうより「グフフッ、グフフッ」っていう感じなんです。
もう「うわあっ」って思って血の気が引いちゃいますよ。地面から少しの所で「グフフッ」なんて
鳴けるなんて、生首くらいしかないじゃないですか。
「目開けちゃいけない」と思って。目、固く閉じて「あっち行け!あっち行け!」って念じてたんです。
冷や汗びっしょりでね。そしたらだんだん遠ざかっていったんで「ほっ」っと思ったら
『それ』が足の上に「ドン!」って乗って来たんです。目開けまいとこっちは必死ですよ。
それで段々『それ』が上の方に向かって「ドン!」「ドン!」って来てね。腹に「ドン!」って来た時は
流石に「うっ!」って目開けそうになりましたけど、じっと、耐えてました。で、どんどん上がってきて
喉に「ドン!」って思いっきり来て思わず「ぐえっ」って、目、開けちゃったんですよ。
そしたら目の前にどこかのオジさんの生首があってそれが「アハハ・・ッ」って不気味に笑ったんです。
まるでモニターの前で笑うあやしいの人みたいに。そこでもう気失っちゃったんですよ。
で、先輩には言えないんだけど、たまに「あの鳩、まだ来てますか?」って言うと、
「ああ、来てるよ」って先輩、ニコニコして言うんですよ・・・・・。