奇跡は起こった。 陳腐な言回しかもしれないが、 そうとしか表現できない事が俺の周囲では起きた。 絶望的と言われた状況から、秋子さんは回復した。 名雪の壊れかけた心を繋ぎ止めろ事もできた。 栞を蝕んでいた病魔も消え、香里との溝ももうない。 あの姉妹なら、きっと大丈夫だ。 孤独の中闘い続けていた舞は、その呪縛を解かれた。 退院した佐祐里さん共々、彼女たちを縛り付けていた過去の鎖はもうない。 そして、それらの奇跡を起こした少女、 月宮あゆも長年に渡る昏睡から目覚めた。 いまでは水瀬家の居候二号だ。 ただ一人、自分の命と引き換えに束の間の奇跡を俺にくれたあいつ