> 2002/11/23 (土) 02:07:44 ◆ ▼ ◇ [mirai]> 「計画的なご利用」なんて言葉とまったく無縁だった俺は、後先考えずパーツ
> 買いまくり、さらにアルコール浴びまくり。貯金残高四桁で月末は人から缶詰を
> 恵んでもらう毎日。最低だったよ。
> だけど、そんなただれた生活を見かねた職場のボスが、ある時教えてくれたん
> だ。「デュアル」っていう世界があるって。お前もこれで真っ当に生きろって。
> でも、すさみきってた俺は、ボスの親心が理解できなかった。
> 俺は言ったよ。
> CPU二つ乗っけてどうすんだって。
> そこに何の意味があるんだって。
> それで金でも入ってくんのかって。
> ボスの親心を何一つ理解しないまま、俺は夜の新小岩に消えたよ。
> ...でも、あの時の俺は、実際どこかで救いを求めていたのかもしれない。
> 駅前の吉野家で、酔っぱらいの親父と無気力な大学生に挟まれて並食ってた時、
> ふと思ったんだ。
> 俺はこのまま終わっちまうのかな、って。
> 何のために東京に出てきたのかな、って。
> 田舎のばあちゃん、元気なのかな、って。
> そしたら急に視界が曇ってきてさ。
> ああ、牛丼の湯気かなと思ってたら、違ってた。俺の涙だったよ。それが、初
> めて。東京に来て泣いたのは。
> だからかもしれない。
> 次の日の朝、何かにすがるようにパーツ買いまくって、気が付いたら一台組ん
> じまってた。
> ...実際、驚いたよ。といっても、処理能力じゃない。ケースに収まったそ
> の姿になんだ。
> 「美しい...」
> その言葉以外、思いつかない。
> マザーにCPUクーラーが二つ載っているという衝撃。
> その現像が、視線をそらすことを拒否していた。
> いや、自らの脳が、この未知の快楽を処理しきれずに、停止した覚醒状態にあ
> ったといってもいい。
> ...それから何時間経ったんだろうな。気がついたら、もう太陽がさよなら
> してる最中だった。
> 窓を開けていたせいか、いつのまにか近所の野良犬や野良猫どもが入ってきて、
> こちらを不思議そうに見つめている。「いいぜ、お前達がこの誓いの証人だ。」
> この体内を流れるものと同じ紅色の光を浴びながら、俺はそいつらの頭に手を
> 置き、つぶやいた。
> 「生きよう」
> さて、ここから先は過去のニュース記事でも読むといい。俺が話すよりよっぽ
> ど詳しく書いてある。それに、もう時間のようだ。君も、このリムジンを降りて
> 元の生活に戻ったとしても、忘れるなよ、この熱き想いを。
> そして、もしこちら側の世界に来たいと思うのなら、俺はいつでも待っている。
> いつでも待っているぞ。
> じゃあ、さよならだ。
労作だな
参考:2002/11/23(土)02時07分23秒