茜はふっ切れたのか、おれと付き合うようになってからは軽いイヤミを飛ばすほど 社交性を回復していった。学校帰りのデート。甘いもの好きな茜は商店街の洋菓子屋「山葉堂」の ワッフルに目が無い。ここのワッフルは犬が喰ったら座り小便こいて死んでしまいそうなほど 甘いのだ。「二つで十分ですよお客さん」となだめるおれをよそに 「ノーノー、ツー、ツー、フォー」と茜は四枚のワッフルを購入し、自宅で二人だけのお茶会が開かれる。 茜は料理好きでエプロンと三角巾がよく似合う家庭的な女の子である。ササッと紅茶を淹れてもらい ワッフルをかじる。甘い。わかっていた事だが甘い。でも茜、君のたたずまい、仕草、言葉遣い、 そのすべてが、このとんでもない甘さのワッフルを至福の味に変えてくれる。 君が好きならば、おれはそのすべてを飲み込もう。茜の唇も、そして茜そのものも。 ああ。たまらん。幸せの絶頂。ごち。