この日、ただでさえ、小林が椎間板ヘルニアの手術を受けて前半戦絶望となった事で 重苦しいムードの漂う広島の沖縄キャンプに茂雄が「暇潰しキャンプ行脚」にやってきた。 今回の犠牲者は、昨年のウエスタン・リーグ打点王に輝いた期待の若手・栗原。 「右膝に体重を残してバーンといけば、打球はガーンと行く。右膝で爆発! そこでパンチだ」 などと、十八番の擬音を連発した訳の分からないアドバイスを炸裂させ、栗原を混乱の渦に巻き込んだ。 しかし、世論を味方につけている茂雄を批判する程の度胸も実績もない栗原は 「体で表現してくれるのでイメージが伝わり分かり易かった」 と、引きつった笑顔で茂雄を持ち上げるしかなかった。