「初音ちゃんがアルバイト?」 「はい、夏休みに入ってから始めたみたいです」 へえ…まぁ、初音ちゃんも高校生だし、バイトぐらいするだろう。 でも、どんなバイトだ? 「千鶴さん、初音ちゃんのアルバイトって何?」 「え?」 俺の言葉に、千鶴さんは首を傾げ…、 「あらっ?何だったかしら?」 おいおい…。 「ごめんなさい、ちょっと失念して……梓~っ!」 千鶴さんに呼ばれ、梓が台所から首を出す。 「何?」 「初音って、何のアルバイトしてるのかしら?」 しかし、これまた梓も首をひねる。 「え?私は知らないぞ、楓、知ってる?」 楓ちゃんはフルフルと首を振った。 「知らない……でも……」 でも? 「でも、何なんだい?」 楓ちゃんは一枚のメモ用紙を取り出して見せた。 「アルバイト先の住所のメモ、拾いました」