「…っと、次の角を左になるのかな?」 「しっかりしろよ、耕一」 「お前の地元だろっ!」 「暑いんだよ。あー、私は喫茶店の千鶴姉呼んでくるから。先に確認しといて」 バイト先を探すのは俺、探してる間、三人は喫茶店。 ひでぇ。 だいたい、千鶴さんが…、 「いけないアルバイトじゃないといいんだけど…」 なんて言い出すもんだから、梓が…、 「じゃあさ、確かめついでに冷やかしに行こうぜ」 とか言い出して、千鶴さんも…、 「せっかくだから、みんなで行きましょう」 …んで俺ばかり苦労してるってワケだ。 おっ、もしかしてあの建物か? 『ももんがの館』 じゅ、住所は合ってるよな? なんだ、ももんがの館って。 初音ちゃんは、どんなアルバイトしてるんだ…。 建物は蛍光塗料で塗りたくられ、極彩色。 窓が一つも無いというのが気味悪い。 館の屋根には、巨大なオブジェがくるくる回っていた。