投稿者:  2003/03/11 (火) 13:48:53        [mirai]
「おい、耕一…なんだこりゃあ…?」

 俺が知るか!

「ひぃっ!やっぱりいけないアルバイト!?」

 千鶴さん…。

「とりあえず入ってみましょう」
「う、うん、楓ちゃんの言うとおりだな…」
「さ、賛成」
「初音っ!あんなにいい子だったのにっ!」

 ガチャッ
 カランカランカラン

「こんにちわ~」

 おそるおそる中に入ると…。

 うわ、真っ暗!?
 マジでいけないアルバイト?

「いらっしゃいませぇっ!」

 その声は初音ちゃん!?
 どこだっ、どこにいる!?

「耕一さん、上です!」

 楓ちゃんの声に俺は天井を見上げた。

「あれ、みんなで来たの?」
 
 ももんがのヌイグルミをかぶった初音ちゃんが、宙づりになって揺れていた。
 初音ちゃんには大きめのヌイグルミで、短い手足をバタバタさせても毛玉にしか見えない。

「は、初音ちゃん?」
「耕一お兄ちゃん、これ、メニューだから」

 メニューときたか!?
 どれどれ?

『ドレッシング』 

「なんにする?」

 なんにするって…。

「え、えっと、ドレッシングを」

「みんなは?」

 宙づりの初音ちゃんが、他の三人を促す。

「あっ、えっ、私も耕一さんと同じドレッシングを…」
「わ、私もそれでいいや…」

 そう言うしかないだろう。
 メニューには『ドレッシング』としか書いてないのだから。

「楓お姉ちゃんは?」
「ドレッシング」

 ホラ、やっぱり楓ちゃんもドレッシングと……、

「フレンチで」

 フ、フレンチ!?

「ポップにする?それともキッチュ?」

 ポップ!?キッチュ!?

「サイケ」

 サイケ!?

「へえ、楓お姉ちゃんって、通だね」

 通!?
 なんだ、通って!?

「じゃあ、少し待っててね~」

 初音ちゃんは、そう言って飛んでいった。
 天井の滑車がカラカラと回り、初音ちゃんは闇に消えた。