投稿者: 2003/03/11 (火) 13:48:53 ◆ ▼ ◇ [mirai]「おい、耕一…なんだこりゃあ…?」
俺が知るか!
「ひぃっ!やっぱりいけないアルバイト!?」
千鶴さん…。
「とりあえず入ってみましょう」
「う、うん、楓ちゃんの言うとおりだな…」
「さ、賛成」
「初音っ!あんなにいい子だったのにっ!」
ガチャッ
カランカランカラン
「こんにちわ~」
おそるおそる中に入ると…。
うわ、真っ暗!?
マジでいけないアルバイト?
「いらっしゃいませぇっ!」
その声は初音ちゃん!?
どこだっ、どこにいる!?
「耕一さん、上です!」
楓ちゃんの声に俺は天井を見上げた。
「あれ、みんなで来たの?」
ももんがのヌイグルミをかぶった初音ちゃんが、宙づりになって揺れていた。
初音ちゃんには大きめのヌイグルミで、短い手足をバタバタさせても毛玉にしか見えない。
「は、初音ちゃん?」
「耕一お兄ちゃん、これ、メニューだから」
メニューときたか!?
どれどれ?
『ドレッシング』
「なんにする?」
なんにするって…。
「え、えっと、ドレッシングを」
「みんなは?」
宙づりの初音ちゃんが、他の三人を促す。
「あっ、えっ、私も耕一さんと同じドレッシングを…」
「わ、私もそれでいいや…」
そう言うしかないだろう。
メニューには『ドレッシング』としか書いてないのだから。
「楓お姉ちゃんは?」
「ドレッシング」
ホラ、やっぱり楓ちゃんもドレッシングと……、
「フレンチで」
フ、フレンチ!?
「ポップにする?それともキッチュ?」
ポップ!?キッチュ!?
「サイケ」
サイケ!?
「へえ、楓お姉ちゃんって、通だね」
通!?
なんだ、通って!?
「じゃあ、少し待っててね~」
初音ちゃんは、そう言って飛んでいった。
天井の滑車がカラカラと回り、初音ちゃんは闇に消えた。