投稿者:ハッカ飴 2001/03/03 (土) 02:00:24 ◆ ▼ ◇ [mirai]「moon」ってゲームを知ってるか?
アスキーが販売してるけど、製作は伊集院光絶賛の「UFO」も作ったLOVE-de-LIC(ラブデリック)だ。
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このゲームは、ゲーム中のムーンワールドに呼ばれた少年が「ラブ」を集めて、
その世界を救うというストーリーなんだが、その話は後回しにしよう。
俺が語りたいのはな、クリアしたあとに考えさせられたことなんだよ。
このゲーム、最後の最後に、主人公がムーンワールドを救えずに
バッドエンドになってしまって「あーあ」ってときに、
少年の母親が「ゲームなんか止めて寝なさい」なんていう風に叱るんだ。
そのとき、少年は「CONTINUE?」の問いに答えるんだけど、
実はmoonをプレイしているプレイヤーに向けた問いなんだ。
そして、これは最後の謎とも関係している。
ムーンワールドの最後のシーンで、
主人公は「次にあなたの前に扉が現れたとき、あなた自身のラブで扉を開けなさい」と言われる。
そしてゲームが終わって、バッドエンドだったと思ったあと
「CONTINUE?」とたずねられるんだが、そのとき確かに扉があるんだよ。
たぶん少年の寝室に続くドアなんだろうけど。
つまり、終わったと思った後に真のエンディングかバッドエンドかの大分岐があったってわけだ。
初代ドラクエにもラストに分岐があったが、あれとは違うな。
でもこれ、ただ奇をてらったわけじゃなくて、
「プレイヤーがゲームを終えたいと思ったときが、ゲームの終わり」ということなんだよ。
これはA列車シリーズで有名な、アートディンクの「アクアノートの休日」とも通じるかも知れない。
それというのも、ゲーム中、進行度がいつでも分かるようになっていて、
プレイヤーはゲームを遊び尽くしたかどうか知ることができるから、
まだやり残したことがあると感じているなら、きっと「CONTINUE?」の問いには「YES」を選ぶ。
つまり、プレイヤーの達成感をゲームのクリア条件にしているってわけだ。
プレイヤーがゲームを遊びきったと思ったときに、真のエンディングを見せるという作り。
現実のプレイヤーを取り込んだうまいストーリー展開だったよ。
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・・・とかなんとか、クリア後に現実のプレイヤーである俺が考えていると
多分、時限式なんだろう、画面が「愛は見つかりましたか?」というメッセージに変わる。
ここでまた俺は感動して考えちゃうんだな。
結局、愛は見つからなかったさ(笑)。
でも、この「moon」に注がれた愛は感じたね。
理由はさっき書いた中にあるはずだ。
ゲームをやっていて愛は見つからなかったが、これから見つければいいというわけだ。
だって、ラストシーンの「あなた自身が扉を開けなさい」という言葉は
ゲームに出てきた少年ではなくて、プレイヤーである俺に向けられたものなんだから。
『友達がいない、引っ込み思案で不細工な漏れでも扉を開けられますか?』
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俺が考えるRPGでの最低のエンディングは、クリア寸前でそれまで積み重ねてきた物語をぶち壊すことなんだ。
それもゲームオーバーで即タイトル画面になるなんて中途半端なものじゃなくて、
印象的で後味の悪い、それでいてよく作りこまれたバッドエンディングだ。
つまり、プレイヤーが感じてきた物語を完全に終わらせてしまうこと。
不満の残らない、ひょっとして真のエンディングより完成度が高いんじゃないのって感じの
バッドエンディング。
「moon」にそんなエンディングは無かったけどね。
でも俺がそんなことを考えてしまうほど味わいのあるゲームだったよ。