2003/05/02 (金) 02:13:49  ◆  ▼  ◇  [mirai] とうとう由綺も、あのお昼の番組『笑っていい素!!』に出演することになった。
 もちろん、『TELフォン・ショッキング』にだ。
 俺は大学を休み、ビデオの録画準備を済ませ、朝の10時からテレビの前に座った。
 そして、とうとう、由綺の出番だ!!
『それでは、月曜日の緒方理奈ちゃんからのご紹介で、森川由綺ちゃんです!』
 わーーーっ!
『こんにちわー』
 う~む、出てるぞ。
 あのモリタとトークしている。
『今、趣味とかあるの?』
『はい、カメラの・・・』
『写真?』
『いえ、レンズを磨くのが好きなんです』
「おいおい・・・・」
 俺は思わずツッコむ。
 しっかし、つくづくトーク向きじゃないキャラだな、由綺は・・・
 そんな感じで、由綺は天然ボケを連発し続けた。
『サボテンを・・・』
『サボテンを育ててるんだ?』
『いえ、サボテンを見るとメキシコを思い出しますね』
『はあ?』
 俺はテレビの前で苦笑するばかりだが、会場の連中はすっかり憔悴している。
 テレビの画面から伝わるんだから、これはマジもんだな。
 まあ、そんなこんなで、お友達紹介・・・
『じゃあ、そろそろお友達を・・・』
『えーーっ!?』
 叫んだのは由綺だけだった。
 それでも由綺は気づくこともなく、ニコニコと笑ってこう言った。
『それじゃあ、私の尊敬する人を・・・』
 緒方プロデューサーとかかな?
 プルルルルルルッ
 ガチャ
『はい、もしもし永倉ですが・・・』
 な、なにぃ!?
 美咲さん!?
『―――それじゃあ、出てくれるかなっ?』
『あ?え?えーっと・・・・・い、いいとも!』
 おいおいおいおいおいおいっ!
 次の日・・・
『え~、火曜日の由綺ちゃんからの紹介で、永倉美咲さん』
 わーーっ!
『こんにちわーっ』
 出てるしぃーーっ!?
『花輪がいっぱい来てますねえ』
『ああ、ありがとうございます』
 ゆ、由綺より多い!?
『いやあ、ずいぶん寒くなりましたよね』
『そうですね、でも私、秋とか冬・・・寒い季節が好きなんです』 
 由綺より、ちゃんとトークしてるしっ!?
『じゃあ、そろそろ、お友達を・・・』
 ええーーーっ!
 会場の心をつかんでるしっ!
『うふふ、それじゃあ、大学の後輩で・・・』
 ・・・・・
『藤井冬弥くんを・・・』
 な、な、なにぃーーーーーーーーーっ!?
 俺は、めちゃくちゃ狼狽した!
「み、み、み、美咲さん!!いくらなんでもそれは・・・」
 だが・・・・・・
 プルルルルルルルルルーーーーーーーーーッ!  
 
 家の電話が鳴った・・・・